実家に

実家は、私の住んでいる町から2駅東にある。

今日、仕事からふわふわしながら帰って来て、祖母の遺骨と位牌を持って、母の位牌も持って、実家に向かった。

明日は祖母の四十九日で、その前に、祖母を自分のうちへ、帰してあげたかったのだ。

 

ずっと、祖母をおうちに帰してあげたいと思っていた。

施設の人が、生前、祖母に、

どこか行きたいところある?と聞いたら、

もうどこもないけれど、住んでいた町。

と答えたと聞いていた。

 

胸が締め付けられるような、切ない気持ちになっていた。

 

祖母は、施設の窓から見える古い家を、あれがうちだね。とよく言っていて、

本当はちがうけど、私はそうだよ、と答えたんだ。

 

祖母の遺骨と位牌と、母の位牌を、大きな鞄に入れて、抱きかかえながら電車に乗った。

 

駅を降りて、実家に向かう途中も、心の中で祖母に話しかけながら、ここは昔から変わらないね、とか、ほらおばあちゃん、◯◯さんちだよ、とか、まだこの桜の木、あるよ、春には桜が満開になるよ、などと話しかけながら、実家に向かった。

 

祖母の部屋をあけ、小さなテーブルの上に遺骨をのせ、お線香を上げた。

良かった…やっと帰せた。遅くなってごめんね、と泣いた。

ほんの少し、肩の荷がおりた。

 

一泊してもらって、明日、車で迎えに行く。

それで、四十九日の法要へ向かいます。

 

おばあちゃん、お母さんと水入らずで話してね。