姉の言葉

 

祖母の葬儀に、私の彼が受付をやってくれた。

家族葬で人数は少なかったが、葬儀屋さんに受付を置いて欲しいと言われたため、お願いしたのだった。

 

家族葬で人数が少なく、彼は最後まで居てくれた。骨も拾ってくれたのだ。

 

生前、祖母を施設から整体院まで車で連れて行ってくれた事もあり、祖母とは面識があった。

 

葬儀のとき、火葬が終わるまでの間に、姉は私の彼に、あの子をよろしくお願いします、と言ってくれたらしい。

嬉しい言葉だった。

だけど引っかかった言葉がある。

姉は私のことを、『あの子は強いでしょう』と言ったのだ。

 

強くなんかない。

すぐに胸がいっぱいになり、泣いてばかりだ。

ひとりで家で泣いたり、実家で泣いたり、色々なことで、今は非常に辛い。

それを、わかってないと思う。

 

辛さに耐えられる心の許容範囲は人それぞれ違うけれど、姉なんかより、私の方が辛い思いを目の当たりにしているのだ。それに耐えるしかないから泣きながらやっているのだ。

 

それを、わかって欲しい。心配して欲しい。

何故、ほぼ何もしてくれないのか。

任せっきりで、気まずいから何も言わないのか。

 

納骨をあせる必要はないというのは間違っていない。だけど、祖母の遺骨が私の部屋にあり、毎日向き合わなくてはいけない気持ちを、姉は分かるはずもない。

 

諸々の連絡や、手続きやらを、やる事の苦しみはやらないと分からない。

 

祖母の経営する古いアパートで、住人の方から不具合の連絡が来たり、草をむしったり、枯葉を掃除したり、雪かきをしたり、

共用部分の電灯が切れたり、水道管が凍結したり、それらは全部私がやっている。

退去すれば新しい住人を募集する。

その手間があるから、家賃収入が得られるのだ。

 

私は祖母を守るために必死だった。

 

そして、祖母がなき今、私は手続きに追われているし、四十九日も埋葬も一筋縄ではいかない。

姉も兄も、何もしていない。

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