西原理恵子の『パーマネント野ばら』
初めて読んだのは10年前で、仕事で必要に迫られて読んだ。
当時も『良いなぁ…』て思ったけど、10年後の今読み返してみるとやっぱり良い。
胸に沁みるような、常にうっすら目に涙が浮かぶような作品。
登場人物たちが下品で、ピュアで、むき出し。難しいことなんか何も言わない。
だけど無意識で大事なことを知っている、そんな世界観。
わかる気がするんだ。
私も、家庭環境があまり良くなかったり、可愛がってもらえなかったり、
身体が弱かったりして、常に寂しさを抱えていたから。
だけど父は飲んだくれで、母は苦労して、私たち家族はみんな辛い思いをした。
誰もがみんな、行き場のない寂しさを秘めていて、誰も何も言わないけど、みんながそれを分かってて、いざという時は受け止めてくれる。
下品なのに優しい世界観が泣ける。
私には受け止めてくれる人はいない。子供の頃はいたけど、大人になってからはいない。
だから羨ましい。
読後、しばらく優しい寂しさに浸りたい。そして自分のことや大切な人たちのことを考えたい、という気持ちになります。
ちなみにこの作品、映画も良かったです。
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